合同会社と株式会社、会社設立を考えたときに果たしてどちらがいいのかというと、どちらにもメリット・デメリットはあります。
そのため、「どちらの会社形態がいい」というのは、はっきりいってありません。
株式会社と合同会社、それぞれの特徴を理解して、会社の事業目的や事業展開に応じて最適と思われる方を選択してください。
合同会社の特徴
- 定款自治
「定款自治」とは、定款で会社内部の規制を自由に決定できることです。
株式会社では、「○○は株主総会の決議で決めないといけない」といったことが法律で決まっている場合、それと異なる定めはできません。
しかし、合同会社ではほとんどの条文に「ただし、定款でこれと異なる定めをすることができる」の一文が入っています。
そのため、株式会社よりは自由な設計により会社運営ができます。 - 設立費用の安さ
合同会社を設立するには、実費で10万円(電子定款利用無し)、株式会社だと実費で24万円(電子定款利用無し)と、設立にかかる費用はかなり差があります。
そのため、費用を抑えて会社を設立したい方には、合同会社はおすすめです。
- 「取締役」ではなく「業務執行社員」
株式会社では、実際に会社を運営する人は「取締役」と呼ばれますが、合同会社では、「業務執行社員」となります。呼び名は違えど、会社を運営する人という意味ではどちらも変わりはありません。
- 「代表取締役」ではなく「代表社員」
株式会社の代表者は「代表取締役」です。これはみなさん当然知っていることと思います。ちなみに合同会社の代表者は「代表社員」といいます。そもそも、「社員」というのが、一般的には「従業員」という認識がありますので、なかなか聞き慣れない言葉に、会社代表者というイメージがわきにくいかもしれませんが、れっきとした会社の代表者です。
- 決算公告の必要なし
株式会社では、「定時株主総会終結後遅滞なく、貸借対照表を公告しないといけない(会社法440条)」(いわゆる決算公告)とあります。そのため、株式会社では一年に一回は必ず貸借対照表を官報に掲載するなり、新聞に掲載する必要がでてきます。
しかし、合同会社では決算公告の規定がありませんので、する必要はありません。
官報でも新聞でも、公告をするには最低でも数万円からの費用がかかります。そのため、株式会社であっても実際に決算公告をしている会社はそれほど多くないのが現状です。
- 役員の任期無し
株式会社では、取締役の任期は原則2年(会社法332条)、監査役は4年(会社法336条)と定められていますが、例外的にどちらも10年まで延長することができます。
役員の任期が到来するとどうなるかというと、その旨の変更登記をしないといけなくなります。従前の役員が引き続き役員を務めるのであっても同様です。
ですから、役員の任期が到来するたびに、変更登記をする費用と手間がかかります。
しかし、合同会社では役員の任期はありませんので、こういった手間や費用もかかりません。